天理教の時間「家族円満」 by TENRIKYO
TENRIKYO
カテゴリー: 宗教/スピリチュアル
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ゲームは宿題が終わってから! 岡山県在住 山﨑 石根 私には子どもが5人いるのですが、この春、小6になった4番目の三男はいわゆる天然キャラで、「おとぼけちゃん」なんです。うっかりした失敗が日常茶飯事なので、しょっちゅう私たち家族に笑いを届けてくれます。また、その反対に怒られてしまうこともしばしばです。 今年の夏休みのことです。我が家には、「夏休みの宿題を全部終わらせたら、ゲームをしてよい」というルールがあります。少し厳しいようですが、2年前の8月末に、大量に残っている宿題に深夜まで付き合わされた妻が下した鬼のミッションなのです。 今年も皆、7月中に宿題を終わらせようと一生懸命頑張りました。特に小6の三男と小4の妹は、7月末に4日間、母方の祖父母の家に泊まりに行き、「この期間に全部終わらせる」と意気込んでいました。 ところが、祖父母の家から戻った時に事件は起こったのです。仕事から帰った私が、ゲームをしている三男を見て、「宿題終わったんか?」と尋ねると、「全部終わった」と言います。「じゃあ、見せてごらん」と言うと、「妹に確認してもらった」と言い、なかなか見せようとしません。ゲームに夢中だからです。 しかし、ここは退いてはダメな場面だと思い、きちんとチェックしようとすると、一つの宿題が見当たりません。それは「サマー32」という冊子で、国語・算数・理科・社会・英語のすべての教科を網羅したメインの宿題です。 「サマー32が無いやんか」 「だから、それも妹に確認してもらったってば」 押し問答は続きます。 祖父母の家に忘れていないか尋ねたり、あちこちの部屋を探したりしたのですが見つかりません。そこで私が彼の旅行かばんをのぞくと、ついに「サマー32」が現れました。ところがその冊子の中身は、何と7割ぐらいが白紙の状態だったのです。 「ほら、やってへんやないか!」 私も驚きましたが、あろうことか三男も目が点になっているのです。 「いいや、僕は絶対全部やった」 「でも、ここに出来てない宿題があるやんか」 「だから、全部やって、妹にも確認してもらったんだって」 「確認、確認言うても、目の前に終わってない宿題があるやないか」 「だから、おじいちゃんのうちで全部やったんだってば!」 再びの押し問答、もはや『世にも奇妙な物語』のようです。実際に目の前に出来ていない宿題があるのに、なぜそれを認めず、「やった」と言い張るのか…。 もやもやの晴れないまま迎えた夕食の席で、衝撃の事実が判明します。妹が、「お兄ちゃんがやってた宿題は、私の分で!」と打ち明けたのです。何と三男が仕上げた宿題は、小4の妹の「サマー32」だったのです。 椅子から転げ落ちそうなくらい皆でズッコケましたが、三男にしてみたら笑い事ではありません。うっかりもここまでくると、不注意以外の何ものでもないのです。 さらに、妻からとどめの一言が続きました。 「ほら~、やっぱり!」 実はこの「やっぱり」には、ものすごい重みがあるのです。 これは私たち夫婦のさんげ話にもなりますが、彼が小4の時の担任の先生から、三学期の終わりに次のようなことを言われました。 「息子さんは、一年間、宿題のドリルをほとんどしませんでしたよ」 本人の「宿題はもう終わった」というセリフを真に受け、忙しさを理由に確認を怠っていたのは私たちです。妻は彼が小5になってからも、「ドリルは一生ものだから、いつやっても遅いことはない。小4のドリル、今からでもやりねえ」と再三にわたって促していたのですが、彼は全くやらなかったのです。 その上での、妻からの一言。 「ほらね。やっぱり、小4の宿題を、こういう形ででもやらなあかんようになってたんやで。神様は見抜き見通しなんやから!」 この妻の的を射た一言に、三男は泣きっ面に蜂で、ぐうの音も出ませんでした。 『天理教教典』では、「善き事をすれば善き理が添うて現れ、悪しき事をすれば悪しき理が添うて現れる」と、厳然たる因果律の存在が述べられており、これを「いんねん」と教えて頂きます。 もちろん、天理教でいう「いんねん」は、世にいう因果応報とは違い、その奥に、神様が人間を陽気ぐらしへ導こうとされる親心があることを忘れてはなりません。このことを、亡き私の恩師は「神様からの宿題」という言葉で分かりやすく教えて下さいました。 自分や自分の周りに辛いことや苦しいこと、都合の悪いことが起こってくると、私たちはどうしても「何でこんな目に…」と後ろ向きな考えに陥ってしまいます。しかし、そこを「これは神様からの宿題なんだ」と考え直すことが出来れば、「宿題なら後回しにしてはならないし、必ずやり遂げられるからこそ与えてくださったのだ」と、立ち向かう勇気が湧いてきそうです。 神様は人間をお創り下された親ですから、親ならばこそ、この宿題を通して成長させたいという期待が込められているのかも知れません。私はこの「神様からの宿題」という言葉が好きで、常々よく用いていたので、今回の三男の宿題事件を「絶妙の親心だなあ」と感じました。 さて、三男は翌日、本来やるべき「サマー32」を、何と一日で完成させました。やったら出来る子なんです。 反対に、「私の宿題、お兄ちゃんが勝手にやってくれた。しめしめ」と思っている妹にも、いつか「神様からの宿題」が出されるでしょう。いつになるのかは分かりませんが、彼女もきっと乗り越えてくれると信じています。 まだあるならバわしもゆこ この教えが広まり始めた江戸時代、建物の普請が行われる時は、その規模に応じて人足、いわゆる労働者が募集され、人々はすきやモッコを各自で持参し、土を掘り起こして運搬するその労働の対価として報酬を得ていました。 そのような時代、教祖・中山みき様「おやさま」は、「みかぐらうた」の中で、信仰実践としての「ひのきしん」の形を、お言葉と手振りによって分かりやすく教えられています。 みれバせかいがだん/\と もつこになうてひのきしん(十一下り目 三ッ) よくをわすれてひのきしん これがだいゝちこえとなる(十一下り目 四ッ) いついつまでもつちもちや まだあるならバわしもゆこ(十一下り目 五ッ) おそらく、当時の人々は、「もつこになうてひのきしん」と聞いて、すぐに普請現場で土持ちをする様子を思い浮かべたはずです。そしてその行為が、対価を得るためではなく、神様の報恩感謝の行いなのだと心が切り替わった時、それがすなわち「ひのきしん」なのだと教えられたわけです。 ひのきしんとは、欲を忘れて行うものであり、互いにたすけ合う生活につながる行いです。それは形にとらわれることのない、いわば「心のふしん」であり、はた目には地味な作業で、すぐには成果の見えにくいものです。しかし、土持ちが普請における大切な土台作りであるように、ひのきしんは、私たち一人ひとりの人生にとっても、かけがえのない土台作りとなるのです。 ゆえに、ひのきしんとは、お言葉通り「いついつまでも」心掛けるべきものです。「私は若い時に十分やったから、もういいだろう」などと思うことなく、「まだあるならバわしもゆこ」と、自ら率先して勇み立ち、幾つになってもさせてもらうのだという、その気持ちこそが大切なのです。 教祖は、それを自らの行いによって示されました。こんな逸話が残されています。 お屋敷で、春や秋に農作物の収穫で忙しくしていると、「私も手伝いましょう」と教祖自らお出ましになることがよくありました。 ある年の初夏のこと。カンカンと照りつけるお日様の下で、数人が汗ばみながら麦かちをしていると、教祖がやって来られ、手ぬぐいを姉さん冠りにして、皆と一緒に麦かちをなさいました。 それは、どう見ても八十を超えられたとは思えぬお元気さで、若い者と少しも変わらぬお仕事ぶりに、皆は感嘆の思いをこめて拝見したのでした。(教祖伝逸話篇70「麦かち」) (終)
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